ATM3 材は、当社が耐衝撃用に開発、設計し、NACHI（不二越）にて製鋼依頼しているオリジナル鋼種（マトリックスハイス）です。
特に冷間圧造の分野では、S45C 材やSUS 材などの硬いものが加工されるようになり、従来鋼種（SKD11）では耐衝撃力を要するパンチにへたり、ふくれが発生し、SKH51 種、SKH55 種などの高速度工具鋼（ハイス）へ材料を変更するとカケ、割れなどが生じることがあります。このような欠点を補いつつ、抗折力、靱性を増したものがATM3 材です。
パンチ材に使用する場合、数多くある試験の中でも特に耐衝撃値と抗折力が要求されるのですが、耐衝撃値はSKH51 種と同等、抗折力に関してはSKH51 種、SKH55 種よりも数段優れており、抗折力＝たわみ量＝靱性も非常に優れており、割れなどが問題になるパンチには最適です。
マトリックスハイス（セミハイス）
- 炭化物の量を低減する事で、靱性を高めたハイスです。
- ハイスは、基地（マトリックス）＋炭化物で出来ています。
- 基地（マトリックス）：ハイス（高速度工具鋼）成分を溶かし込んだ鉄
- 炭化物：基地に溶け込みきれなかった炭素と合金元素が炭素と鉄の化合物の形となるもの
- マトリックスハイスは、基地（マトリックス）はハイス（高速度工具鋼）の成分レベルで、炭化物の量を低減したハイスです。炭化物が割れの要因の一つなので、炭化物の量を低減する事で、靱性を高めています。
- マトリックスハイスは、通常のハイスより炭素・合金量が低めとなるので、通常のハイスに準じる材質とのことで、セミハイスと言うことがあります。
